自己資金の集め方
創業融資を受けるためには、自己資金をある程度用意する必要があります。
どうしてかと言われますと…
創業融資を受ける方は、これから新しく事業を始める方ですので、まだ事業の実績も、取引の実績もありません。
通常であれば、これまでの実績から融資をどれくらい受けることができるのかという判断になってきます。当然、売上高が大きく、人も多く雇い、多く仕入れをする程、大きな額の運転資金がかかり、またそれに見合うだけの融資を受けることができるのです。
創業融資は、日本政策金融公庫や金融機関の融資担当が、創業者の実績がない状況で「将来の予測」をしないといけません。非常に困難な業務ですし、誰もわかりません。
そこで1つの大きな判断材料が自己資金となるのです。
創業に向けてコツコツと準備を進めてきたということが1つのプラス材料となってきます。これは、事実として客観的な判断ができるのです。
日本政策金融公庫や金融機関の融資担当者は融資を判断するプロでございます。
自己資金が大きな判断材料となるのは、担当者の過去の経験から、自己資金を用意していた人の方が事業を大きくする、事業を継続していくケースが多いと判断しているからに他なりません。
逆に言うと、自己資金が少ない状態で創業をすると非常に危険なのかもしれません。
では、自己資金を貯める方法を説明いたします。
自己資金を貯める方法
○コツコツと給与から自分で貯める
100万円の自己資金を貯めるとすると、何年で貯められるのかがポイントです。
月3万円でしたら年間36万円、2年8か月くらいになります。
約3年間掛けてじっくり創業するタイミング、場所、どのような形態で創業をするのかを考える時間になるかと思います。
給与から自動的に天引きをしていく流れで積み立てをしましょう。
リスクは存在しますが、積み立て型NISAがお勧めかと思います。利益分非課税になります。年間40万円の非課税枠の中で貯めていけて、解約は自由です。3年間積み立てNISAをすることで自己資金もしっかり貯まるのではないでしょうか?
今の仕事で給与が上がるように努力をしましょう。
働いている会社で頑張って、給与の手取りを増やして、毎月の貯蓄額を増やしていきます。
×高利でお金を借りる
個人ローンなどでお金を借りて、自己資金としようとするケースです。
これは「見せ金」にあたり、自己資金と見なされませんのでご注意ください。
金融機関は個人情報についても確認するため、個人ローンで借りている状況などは把握されます。
基本的にNGと考えてください。
△友人知人から援助をしてもらう
友人や知り合いの社長からお金を出してもらい、それを自己資金とするケースです。
これも見せ金と同様の扱いになってきます。また、急に友人からお金を返してくれと言われて、運転資金がなくなってしまい、経営に影響が出る恐れがあると金融機関側が懸念することでしょう。
金銭消費貸借契約書を貸してくださる人と契約を締結して、きっちりと借りていることが証明できれば、問題ないかと思います。融資担当者の判断基準にもよるため、ケースバイケースではありますが、基本的にはNGとして考えてください。
○両親、親戚から借りる
両親、親戚から自己資金を出してもらうことは、身内から創業に関して応援をしていただいているということで好意的に捉えられます。
中でも日本政策金融公庫は、融資担当者が好意的に捉えて、自己資金とみなしてくれるケースが多いです。
逆に言うと、まず創業に関して、身近な人が応援してくれないようなことを、第三者である金融機関がどうして応援してくれるのでしょうか?ということです。
中々、創業のときに両親や親戚に相談をしにくい方が多いのも事実ですが、身近な方々に応援をしてもらってください。
自己資金に関してどうしても難しいようでしたら、両親に相談して出してもらってください。
ただし、融資を受けた後、両親から出してもらったお金をそのまますぐ返すということであれば、「見せ金」と判断されてしまいます。審査中であれば否決されますし、融資後であれば返済を求められることもございます。
実際に、記帳したときには入金されていましたが、記帳後、親にそのお金を返し、それが判明して融資を否決されてしまったケースもございます。
自己資金のチェック
融資面談のときに、通帳に大きな金額の入金があれば、何のお金かを確認されます。
両親から出してもらったお金であれば、両親の通帳のコピーを提出することになります。
基本は、1年分の通帳の履歴を見て判断されます。
自己資金で多い質問1:急に通帳に入ったお金について
定期預金解約、退職金、保険解約、株式売却等による一時的なお金の流入はどうか?というケースがあります。こちらについて、質問のお問い合わせも多くあります。
それらに関しては、問題ありません。まずは、きっちりと面談のときに説明してください。そして、証拠も用意してあれば問題なしです。
しっかりと自己資金として判断してくれます。
自己資金で多い質問2:配偶者のお金について
妻や夫の貯めたお金を自己資金として判断してもらえるのか?というケースもございます。しっかりと、貯めたお金のある方が配偶者であればよいですよね。
これに関しても問題ありません。やはり、きっちりと面談のときに説明することが大切です。その上で、証拠も用意してあれば良いでしょう。
自己資金で多い質問3:自己資金が0円のケースについて
創業者本人の自己資金がまったくの0円で、両親や親戚からの出資のみを自己資金とするケースについて、融資を受けられるかは、結論から言うとケースバイケースです。
ある地域で創業を相談された方は最初、自己資金は0円でした。但し、祖母から200万円ほど出資(借りる?)をしてもらいました。結果として、融資額800万円で融資を無事にうけることができました。
また別のある地域で創業を相談された方も同じく、自己資金は0円でした。両親から200万円を出してもらい自己資金としました。こちらの方は、自分で貯めたお金が0円だったという理由で、創業融資を受けることができませんでした。
融資担当者によって裁量判断がある程度あり、そこで決まってしまう場合があるようです。
よって、融資を受けることができる場合もありますが、最低でも自己資金を50万円程度はもっていた方が安全かと思います。
余談ですが、配偶者が非常に良い職場で勤務されている、ということがプラスになったケースもございます。夫の親が某大手鉄道会社勤務、夫も地域で相当大きな造船所勤務ということで、勤務先もしっかりとしていることでプラス材料になり、融資を受けることができた例もあります。
また、事業用に新しい通帳をつくるのであれば、融資が確定した後につくるようにしてください。
管理を考えると入金用通帳と出金用通帳の2通を用意しておくと管理がしやすいです。お金が入ってくるのみの入金用通帳と、支払い専門の出金用通帳です。入金用通帳から出金用通帳へ月末でも銀行振替をすると、運転資金等の管理がしやすいです。
まとめ
上記の結論として、自己資金はコツコツと計画をして自分で貯めていってください。
もしどうしても難しいのであれば、両親に相談をして、お金を出してもらってください。
自己資金を用意することは、創業融資をスムーズに受けることにつながり、
安い金利で融資を受けることで、事業をスタートアップすることができるのです。